【第3回】「経営者の想い」からゴール・イメージを創る
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第2回 「経営品質」とは何か
1.そもそも「経営品質」とは このセミナーのテーマである「経営品質」とは一体、どのような考え方なのでしょうか。 経営品質とは、例えて言うならば以下のような経営のツールです。
(1)企業が、自社を変え成長するための「気付き」を得るための道具
(2)顧客の視点を通して、自社の経営の姿を映し出す「鏡」、または経営の良し悪しを計る「モノサシ」
(3)経営者と従業員が「会社の将来に向けた革新の具体的な姿」を共有するための共通言語
この経営品質で目指すものは、以下のものです。 顧客からの「クレーム(苦情、相談、要求、期待)」を宝物と考え、顧客の視点を通して独自の「価値」創りを行なうことによる、ダントツの優位性 。
商売の基本は「誰に、何を、どのように」提供するのかを決め実践することです。つまり「顧客」が持つ「ニーズ」を特定して、何かの「手段」で「価値」を提供する活動です。しかし、この単純な原則を いつしか忘れ、自社の思い込みでビジネスを行ってしまうことが多々あります。 結果として、顧客(市場)の要求・期待とかけ離れた部分最適な活動をしていることに気が付かず、「がんばっているのだけれど、何故か売上が落ちている」と袋小路の中に入ってしまう訳です。貴社は いかがですか?
なぜ株式市場のクラッシュですか?
経営品質の原点は「顧客視点でモノを考える」ことです。商売の基本に立ち返って、顧客の目線で自社の経営活動を捉え直し「足りない」もの、「間違っている」もの、「優れている」ものへの「気付き」を得て、今後の活動方針を考えようという試みです。
「当社の課題は明確だよ」とお考えの企業様。顧客視点で見た時に、貴方の会社は本当の課題を捉え切れているのか、このシリーズを通して再度ご確認いただければ幸いです。
2.経営品質が生まれた背景
この経営品質向上活動は日本では1997年から始まった活動ですが、その規範となったのは米国のマルコム・ボルドリッジ国家品質賞 (以下、 MB賞 と呼ぶ)です。1980年代の米国(レーガン大統領の時代)では、安価な労働力を求めて製造業の海外移転が相次ぎ、米国構内産業の空洞化により国際競争力の低下が深刻な問題となりました。(日本企業によってロックフェラービルが買収されたり、ビッグ3のシェアが侵食されたりしたことが大変なニュースになった時代です)
この時、米国は日本企業の強さを謙虚に認め、トヨタに代表される日本の製造業の経営を研究することで強さの秘訣を分析したのです。その結果、「顧客の重視」と「従業員の尊重」という米国の経営にはなかった2つの特徴が浮かび上がることになります。この2つの考えが顧客に高い価値をもたらし、これを米国の消費者が受け入れたのだと結論付けました。
チームの疲労運転
この研究成果を踏まえて創設されたのがMB賞です。財務成績のみならず、「顧客視点の経営で、顧客へ高い価値を提供できる経営の仕組みを持った企業」を表彰する制度です。この制度は、その後世界の約60カ国へ広まり、多くの国々で同様の表彰制度が設けられ、顧客視点にもとづいた経営活動(経営品質)が行われています。
わが国でも、1997年に社会経済生産性本部が事務局となり日本経営品質賞が創設されました。経営品質協議会が普及活動を、日本経営品質賞委員会が審査活動を行うことにより、本年までに14社の企業が日本経営品質賞を受賞しています。また、各都道府県でも、地方独自の経営品質賞が創設されており、現在19の自治体で地方賞が創設されています。(九州では長崎県、鹿児島県に創設されています)
ナレッジネットワークでは、このような経営品質向上活動の考えをベースとし、これに当社の事業の理念を加え、「情報活用のご支援を通じた、お客様と顧客との強い信頼関係構築」を当社の経営品質向上活動の柱と考えています。
3.当社の事業活動の基本コンセプト
当社では、お客様に日本経営品質賞の受賞をお薦めしている訳ではありません。経営品質向上活動の中で提唱されている考え方や活動の枠組みの中から企業の経営活動に役に立つものを選び出し、お客様の課題解決に応用しようと考えているのです。
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ここで、 例えとしてコンサルティング活動を例にとって、経営品質でお客様へ提供したいと考えている価値を説明します。以下の表をご覧下さい。経営品質重視で提供する価値と、従来のコンサルティングとの比較です。
当社では、経営品質を軸足にしますが、個々の問題の処方箋についても検討するサービスを行います。大切だと思うことは、一時的な「その場しのぎ」ではない、お客様の将来の成長につながる提案とすることだと考えています。
4.マネジメント・システムの特徴
経営品質は経営のマネジメント・システムですが、ISOとの考え方の違いを整理して解説します。(ISO2000では経営品質の考え方に影響を受け大幅改訂がなされたため、類似点が増えました)
経営品質では、改善活動を8つのカテゴリーの合計22個の「鏡」を見ながら行います。各テーマでは改善活動の進め方の枠組みが具体化されており、「将来のありたい姿」に近づけるために下記の手順で検討を進めます。
1.「ありたい姿」に近づくための基本方針(行動指針)を決める (どのような行動を取るのか?)
2.活動目標(活動指標と目標値)を決める (活動の成果を何で測るか?目標値は何か?)
3.活動成果から検証し基本方針を見直す (何が方針として問題なのか?測定指標は適切なのか?)
このような具体的な枠組みは、ISOでは特に明確にされておりませが、マネジメント・システムとしては共に「改善」を目指すものであり、「マネジメントの本質をどこまで考えて活動するか」という点が本質的に重要な点です。一部に「ISOの方がマネジメントが優れている」という人がいますが、当社では上に述べたように、優劣の比較など全く意味のない議論だと捉えています。
ここまでの解説でお判りいただけたかと思いますが、経営品質は経営改善のテクニックや手法と言った方法論ではありません。お客様の経営活動で本質的に重要なものへの「気付き」を得て、改善の方針を決めて行くという、そのための経営改善活動の枠組みそのものなのです。
次回の第3回では、いよいよ経営品質の本質に入って行きます。経営品質で最も大切にしている「経営者の想い」と「将来のありたい姿」について解説いたします。
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